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あっこがテトリスを初めて見たとき、四角い箱が上から落ちてくるだけのつまらないゲームだなと思いました。
しばらくして、えっ? もしかしたら面白いんじゃないの?と思ったのはお母さんが一生懸命やっているのを見た時です。
お母さんはいつも忙しい忙しいと言って、ゲームをする暇なんかなかったのに、この頃「息抜き」と言って、テトリスをするようになりました。
お母さんはゲームが好きなくせにうまくありません。
「毎日一生懸命考えて仕事をしているのだから、ゲームをする時くらい何も考えず楽しみたいのよ」というのがうまくならない理由らしいのですが、それは言い訳に過ぎないと思われます。
というのもゲームをしている時のお母さんは真剣そのもので、とても息抜きでやっているとは考えられないからです。
お母さんは何度も何度もリセットしてテトリスをやっていました。
どれくらい時間が経ったかわかりません。
突然それまで聞こえていたのとは違う音楽が鳴り出しました。
画面では小さな人間が踊っています。
お母さんはニコニコ。
あっこはそれまでテトリスにこんな仕掛けがあることを知りませんでした。
ふーん 面白いんだ。
「この踊る人間はクリアーする画面によって数が変わるんだって。全部クリアーできたら花火があがるんだって。いつか花火を打ちあげたいね!」とお母さんはちょっと興奮気味にあっこに話しました。
その日からあっこは今まではあまり興味のなかったテトリスをするようになりました。
あっこは小さな人間が1人だけ踊っているのが見ることができました。
お母さんは3人から進みません。
でもあっこはテトリスをクリアーすることよりもこうして お母さんとゲームをできるのが嬉しいのです。
いつか2人で花火を見ようねお母さん! |
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